職人―服のボタンの影に隠れた、針と糸の技
wafuの服に現れている、
職人の想い、心意気に焦点を当てるよみもの、「職人」シリーズ。
その想いや心意気は実際にどのような形で服に現れているのでしょうか?
今回は「ボタンの付け方」を見てみようと思います。
服のボタンをイメージしてみていただきたいと思います。
そして、そのボタンをかけてみてください。
どんな感触を思い出すでしょうか。
wafuの洋服のボタンをかけたことのある方はいらっしゃるでしょうか。
量販店の服との違いも思い浮かべていただければと思います。
そう、wafuの服のボタンは、
生地から少し、浮いているのです。
つまり、かけやすい。
このボタンのかけ方は、
2018年現在、根巻きが出来るミシンがあります。
しかしながら手付けの頑丈さや掛け心地の良さには至りません。
そしてwafuではボタン一つ一つ、手作業でつけています。
ボタンをご自宅で布に縫い付けた経験のある方は多かろうと思いますし、
そのシーンを思い出していただければ、ボタン付けという仕事がどんなものかは、
想像に難くないと思います。
ボタンを付けるための機械はあります。
しかしその機械でボタンを付けた場合、
ボタンと生地の距離は近くなります。
なぜかというと、機械の針の指し方は、ボタンを通してまっすぐにしか指せず、
ボタンと生地との距離がある状態でそこに固定の糸を横に巻いていくと、
ボタンの根本がひょうたんのような不格好な形になるだけでなく、
ボタンが外れる可能性が高くなります。
しかし、手作業では針を斜めに指すことができ、
ボタンと生地との距離がある状態でそこに固定の糸を横に巻いても、
不格好に見えず、ボタンを生地にしっかりと付けることができる上に、ボタンと生地の距離ができた状態でも安定します。
そのため、
かけやすく長く使えるボタンの付け方ができます。
そして、そのボタン付け手作業の鮮やかなこと!
私はwafuの洋服をたたんでいたとき、
何気なく服の形を整えるために、ボタンをつけたり、あるいは外したりしていました。
以前なら、新しい服のボタンをつけたり外したりするとき、不安な気持ちがありました。
なぜなら布とボタンの距離がなくて、
ボタン穴が広がったりしないだろうか、
ボタンが外れることはないだろうか、と感じていたからです。
ですが、wafuの服のボタンをかうとき、そんな心配がほとんどありませんでした。
そして、このボタンの話を聞いて、納得。
もちろん商品なので気を遣ってはいますが、
ボタンがかけやすいので、以前のような不安がほとんどありません。
美しいボタンの付けかた。
ご購入の際は、ボタンの影に隠れたその技を、ぜひじっくりご覧いただけたらと思います。
文と写真・笠原里紗