リネンとラミーの違いって?
麻の種類とそれぞれのメリット
使い込むほどに風合いが良くなり、柔らかくなっていく麻素材。
しかしその「麻」には様々な種類があります。
どれも同じようにサラッとした軽い素材に見えますが、
リネン、ラミー、ヘンプなどの呼び名があり、それぞれ特徴が違います。
そこで今回は、麻の中でも衣料品に使われるリネンとラミーの違いについて
詳しく掘り下げていこうと思います。
それぞれにいいところがある素材ですので、特徴を知って
うまく使い分けながら、日々の暮らしの中で使っていただけたら嬉しいです。
天然繊維の麻にはこんなに種類があるけど…
一口に「麻」といっても、リネン、ラミー、ヘンプ、ジュートなど
様々な呼び名がありますよね。
リネンが麻のことじゃないの?と思った方もいるはず。
リネンは麻の一種、というのが正しいです。
これらの呼び名の違いは植物の種類に違いがあるからです。
ではなぜこのように分けられているのか、麻素材の基本的な知識からお話しします。
麻とは?麻素材の基本を知ろう
「麻」というのは、繊維の名前。
植物からとれる繊維の総称で、20種類近くあります。
その麻を植物の種類ごとに分けた呼び方が、リネン、ラミーなどの名前ということです。
リネンはアマ科、ラミーはイラクサ科など科名が違う=植物の種類が違うのです。
代表的な麻にはこのようなものがあります。
・リネン(亜麻・あま)
・ラミー(苧麻・ちょま)
・ヘンプ(大麻・たいま(おおあさ)
・ジュート(黄麻・こうま)
・マニラ麻(アバカ)
・サイザル麻(サイザル)
・ケナフ(洋麻・ようま)
これらを全部まとめて「麻」と呼んでいます。
麻と日本人の関わり
今は、服の素材といえば綿(コットン)が主流となっていますが
綿が日本で普及したのは江戸時代。
それまで人々の暮らしの中にある素材は「麻」が中心でした。
日常生活で衣料品としてはもちろんのこと、
綱や袋物といった暮らしの中で使うものにも麻は利用されていました。
その一方で、麻は「ケガレを祓うもの」としても珍重されてきました。
神事で使われる御幣(ぬさ)、しめ縄などにも使われ、
古くは天照大神が天岩戸から出た際に、洞窟に戻らないよう
麻の縄で入り口を塞いだともいわれています。
日本各地に「奈良晒」「近江ちぢみ」など伝統的な麻の織物があり
栃木県の一級品は伊勢神宮のしめ縄の材料として使われています。
このように、麻は暮らしの中で人々に親しまれてきた素材であると同時に
皇室や幕府に献上される最高級品としての一面もありました。
日本で「麻」と表示できるのはリネンとラミー
さて、たくさん種類のある麻ですが、実は衣料用の繊維として
「麻」と表示できるのはリネンとラミーだけなのです。
これは、日本の「家庭用品品質表示法」で
麻と表示して良いのがリネンとラミーだけになっているためです。
あまり知られていませんよね。
ちなみにその他の麻素材は、麻ではなく「植物繊維」+繊維の名称を表示します。
かつては「指定外繊維」とされていたのですがこの用語は廃止となり、
たとえばヘンプなら「植物繊維(ヘンプ)」などと表示されます。
リネンとラミーの違いを知ろう!
それでは、リネンとラミーの違いについて詳しくお話ししましょう。
植物の違い
リネンはアマ科、ラミーはイラクサ科。
植物の種類がそもそも違うのです。
リネン(亜麻)は一年草で1メートル前後まで成長し、
小さくて可愛らしい花をつけます。
それに対してラミー(苧麻)は多年草であり、
ときには2メートルを超えることもあります。
産地の違い
リネンは主にヨーロッパで使われてきた繊維で、
フランス、ベルギーなど主に涼しい地方で育ちます。
ラミーはアジアやブラジル、フィリピンなど熱帯地方を中心に栽培されています。
素材感・手触りの違い
布の感触、素材感も違いがあります。
リネンはふんわりと柔らかい感じ。
とても優しい風合いで、肌に触れてもチクチクしないです。
アウターとしてはもちろん、インナーやシーツ、バスタオルなど
直接肌に触れるアイテムにも使われるのは、この感触の良さからでしょう。
我が家のリネンバスタオルも、もう10年以上使っていますが、
洗うたびに柔らかくなっていくような感じです。
コットンリネンなど、他の素材と一緒に使われることもありますね。
ラミーはと言いますと、繊維が太いのでとても丈夫。
リネンと比べるとやや硬めの感触です。
「麻はチクチクする」というイメージをお持ちの方もいると思うのですが
そのチクチクする麻はたぶんラミーのことです。
麻特有のシャリ感があって、ややチクチクするのがラミーの特徴です。
ただ、最近では生地を作るときの加工の方法次第で
チクチク感のないラミーも増えていますので
リネンと同じくらい肌触りのよいラミー生地もありますよ。
そういう意味では、リネンもラミーも甲乙つけがたくなっていますね。
光沢の違い
ツヤのある独特の光沢感は、ラミーの方がわかりやすいです。
その丈夫さとはうらはらに、独特な繊細感を持つラミー。
リネンはどちらかというとマットなイメージですので
ぱっと見はラミーの方が高級感を感じるかもしれません。
見た目の違いはあくまでも好みですが、日常使いには
あまり光沢感がないリネンの方が使いやすいかと思います。
リネン(亜麻)の特徴やいいところ
リネンは使い込むほどに風合いが柔らかくなり、しかも丈夫で乾きやすい。
衣類だけでなく、暮らしの至る所で使えるのが魅力です。
リネンのメリット
リネンはとても丈夫な上に、速乾性・通気性にとても優れています。
インナーやバスタオルに使えば、汗や水分をしっかりと吸い取って
しかもすぐに乾くので、生地がいつまでもベタつかないのです。
ハンカチとして使うのもおすすめですよ。
洗濯をしてもすぐに乾きますし、薄いから場所も取らず収納にも便利。
今までのタオルをリネンのタオルに変えれば、引き出しや棚のスペースが
かなり空くと思います。
サラッとした感触のリネンは、シーツにも最適。夏は断然、リネンです。
涼感素材のシーツなどをわざわざ買わなくても、リネンで十分です。
我が家の夏のシーツ、タオルケットはリネンですが
エアコンの冷気からは守ってくれるのに、暑くない。
一晩中とても快適に過ごせます。
また、リネンは汚れにくいという特徴もあります。
繊維にペクチンという成分が含まれていることから
これがノリのような役割を果たしています。
汚れ、水分が溜まりにくく、雑菌が繁殖しづらいので
とても衛生的に使えるのです。
リネンのデメリット
サラッとしたリネンのデメリットといえば
ややシワになりやすいという点でしょうか。
洗濯した後にすぐに伸ばしておかないと、シワが残りやすいです。
脱水時間は短めにして、洗ったらすぐに皺を伸ばして乾かした方がいいですね。
また、お湯で洗うと縮みやすくなるため
30度以下のぬるま湯で洗った方がいいでしょう。
ラミー(苧麻)の特徴やいいところ
チクチクするといわれるラミーですが、いいところもたくさんありますよ。
ラミーの特徴についてもお話ししましょう。
ラミーのメリット
ラミーには独特のシャリ感があり、吸水性や通気性にも優れています。
繊維がとても太くて丈夫なので、何度洗濯を繰り返しても
ハリ感を失うことがありません。
天然繊維の中でも最も丈夫な素材と言われているラミーは
繰り返し洗濯をするようなアイテムにも向いていますが
やはりその光沢感が魅力の一つ。
手間暇かけて作られた手織のラミー生地は高級感に溢れていて
その丈夫さからは想像できない、繊細さと洗練さを感じさせる素材となっています。
化繊とは一味違う、天然の上質な光沢感、ツヤ感が楽しめます。
ラミーのデメリット
丈夫な素材だけに、お肌がデリケートな人はどうしても
チクチク感を感じやすくなってしまいます。
それならば、直接肌には触れないアウターとして楽しむこともできますし
光沢感を楽しむならむしろその方がラミーのメリットを活かせる利用法だと思います。
それぞれの素材の特徴を活かして利用する!
リネン、ラミーの特徴を活かすには、どのような使い道があるでしょうか。
リネンの使い道
リネンはその柔らかい風合いを活かして、スカート、
ワンピース、ショールなどに使われることもありますし
速乾性・吸水性を活かして寝具やタオルにも使われます。
・トップス、アウター
・インナー
・マスク
・キッチンクロス
・エプロン
・テーブルクロス
・インテリアファブリック
・枕カバー
などにもおすすめです。
リネン=夏、というイメージがあるかもしれませんが
実はリネン、保温性にも優れている素材です。
自然な暖かさでお肌を包み込んでくれるので
夏だけでなく1年中使える素材なんですよ。
また、その汚れにくさを生かす方法として
カーテンに使うのもおすすめです。
リネンの柔らかい風合いを活かしたカーテンは
お部屋の中をナチュラルな印象にしてくれますし
外から注ぎ込むお日様の光も穏やかにしてくれるでしょう。
ラミーの使い道
ラミーはその丈夫さを活かして、衣類に使うにしても
インナーよりはアウターにおすすめです。
デザインはシンプルでもその光沢感で高級感が出せますね。
日常的に楽しむのはもちろん、ちょっとしたお出かけ着にもおすすめですよ。
また、何度洗濯してもへたることがありませんから
たとえばソファーのカバーとかベッドサイドのマットなどに使うのもいいでしょう。
バッグにしても破れにくく、何度洗っても大丈夫!
エコバックを手作りするのもいいですね。
我が家では、私が裁縫好きなのですが、子供達の袋物を縫うときに
内側の布としてラミーを使っています。
しなやかなリネン、ハリのあるラミー、どっちもいい!
麻にはたくさんの種類がありますが、日本で衣料品に「麻」という
表示ができるのはリネンとラミーだけでした。
リネンは肌触りも柔らかく、優しい風合いが特徴です。
衣類だけでなく、バスタオルやシーツなどの寝具にもよく使われます。
ラミーはその丈夫さと独特な光沢感から、アウターにおすすめの素材。
天然繊維の中で最も丈夫といわれるほど洗濯にも強いので
カバー類などインテリアファブリックにもおすすめです。
リネン、ラミー、それぞれの良さがありますので、その特徴を活かして
日々の暮らしの中で楽しんでいただけたら嬉しいです!
リネンのことをもっと知りたい!という方は、どんな小さなことでも構いません
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