ホテルや病院にあるリネン室とは? 衣類のリネンとの関係は?
ホテルなどで客室とは別に「リネン室」という名前を見かけたことはありませんか?
リネンって麻の布地だよね?
リネン素材がいっぱい置いてある部屋?
それともまさか経営理念を練るための部屋……? と実は謎の存在。今回はそんな「リネン室」にまつわるお話です。
1.リネン室は布類を大量保管する場所
ホテルや病院で、「リネン室」という場所を見かけることがあります。
それらはリネン類や寝具類を保管する部屋のことを指しています。
リネン類とは,具体的にはタオル類,シーツ,枕カバー,便尿器カバーなどのことです。おもにお客様や患者さんのベッドリネン関係です。
それぞれ、施設のベッドの数を考えると相当の量があるので、専用の部屋で保管・管理しているというわけです。
特に清潔である必要があるアイテムですからね。
ちなみに、ホテルでは「リネン」という業務があるところもあります。
ホテル内で使われているリネン類のクリーニングや管理を行うのがおもな仕事内容。
客室係やルームボーイ、ルームメイドと呼ばれる方が同業務を引き受けることもあります。
リネン係は、お客様が使ったタオル類やシーツ、ガウンなどを回収して分類し、修理や汚れ具合にあわせて適切にクリーニングしていきます。
直接お客様の肌に触れるリレン類、快適に過ごしてもらうためには細心を払う必要がある大事な仕事です。
リネン類にシミがあったり、生地がチクチクしていたらげんなりしてしまいますよね。
リネン類は、お客様を最高の状態でお迎えするための大切なアイテムなんです。
ホテルのベッドリネンは清潔さと快適さが命と言っても過言ではありません。
2.ファブリック製品の通称が「リネン」
インテリアショップにいくと、「ベッドリネン」「テーブルリネン」という言葉を目にしますよね。
さきほども「ベッドリネン」という言葉は出ていました。
では、「ベッドリネン」とは実際なんのことなんでしょうか。
ベッドまわりやテーブルまわりで使われているリネンのアイテムのことだと認識しているんだけど、
それらはリネンのアイテムだけではなく、コットンのアイテムも見かけるような……。
そうなんです、「ベッドリネン」も「テーブルリネン」も必ずしもリネンのアイテムではありません。
ベッドリネンとは、ベッドにかかわるファブリック製品の総称。
具体的にはシーツ、ベッドカバー、枕カバーなどがそれに当たります。
そしてテーブルリネンとは、テーブルまわりのファブリック製品の総称。具体的にはテーブルクロス、ナプキン、プレイマットなどです。
ではなんで、さまざまな布地が使われているのに「リネン」という名前のみが総称として使われているんでしょうか。
それはリネンが、ファブリックの総称に値するほど、とても歴史のある生地だからです。
今の私達の感覚からすると、タオルやシーツなど「リネン類」とよばれる素材はコットンのほうが一般的ですよね。
それは産業革命以降、綿工業が爆発的的に発達して生産量が増えたからです。
しかし、歴史からみるとヨーロッパでは昔からタオルやシーツなどはリネン素材でつくられたものが一般的でした。
「ベッドリネン」「テーブルリネン」「リネン類」とファブリック製品を総称してリネンと呼ぶのはその名残なんです。
3.ベッドリネンもテーブルリネンもリネン素材がいちばん!
「ベッドリネン」「テーブルリネン」は先述の通り、今ではたくさんの素材でつくられています。
それぞれ素材ごとにいいところはありますが、やはりリネン素材がいちばん適していると思うんです。そのわけを紹介していきます。
まずはベッドリネン。
なんといってもリネンは、吸湿性と速乾性がバツグン。
眠っているときの汗をしっかりと吸収してくれることはもちろん、触ればいつもさらっとした肌ざわりで気持ちがいいです。
熱伝導が良いことから、熱のこもりが少ないというのもポイント。
まさに快眠をサポートするのに最適の生地というわけです。
そしてテーブルリネン。
乾きやすく、さらっとした手触りが特徴のリネンは、テーブルリネンとしても最適。
テーブルまわりのファブリックはどうしても汚れがちになるので、頻繁に洗いますよね。
「リネンは洗って育てるもの」とも言われます。何度も繰り返し洗って使い込み、変化していく風合いを楽しむのにテーブルリネンはちょうどいいんです。
また、リネン素材は北欧風のテーブルコーディネートにもぴったりです。
テーブルをおしゃれに飾るのに、リネンはぴったりというわけです。
4.今回のまとめ
- リネン室はシーツなどのファブリック製品を保管・管理している部屋のこと
- ファブリック製品の総称は「リネン類」と呼ばれている
- ベッドリネンはベッドまわり、テーブルリネンはテーブルまわりのファブリック製品
- ベッドリネンもテーブルリネンも、リネン素材を選ぶのがおすすめ
文・綿貫大介 写真・Pixabay 笠原 岡田さん