リネンっていつから着られてるの? 世界のリネンの歴史を知りたい! ~古代エジプト編~

 

リネンは世界文明発祥の地であるチグリス川・ユーフラテス川に芽生えた、世界最古の繊維といわれています。

そんな長い歴史を経て人間に寄り添い、使い続けられてきたリネン。今回はそんなリネンの物語を、歴史のなかから紐解きます。

 

1.メソポタミア文明にすでに亜麻が?

リネンのもととなる植物・亜麻(フラックス)は、紀元前8000年頃のティグリス川・ユーフラテス川に生えていたことが確認できています。

ティグリス川・ユーフラテス川といえば、世界史で出てきましたよね。

そう、世界最古の文明であるとされてきた、あのメソポタミア文明が生まれた場所です(現在のイラクの一部にあたる場所です)。

 

この地域には、これらの川があったおかげで農業が発達し、食糧生産が増え、人口が増加し、発展していきました。

そのため、このメソポタミア地域を「肥沃な三日月地帯」と言い表していました。ここまでは高校の世界史Bで習いますよね。

 

小麦や大麦などが栽培され、無発酵のパンなどがすでに食べされていたと言われていますが、亜麻も栽培されていたんです。

 

亜麻は寒い地方で栽培されているイメージがありますが、原産地は中東近辺と言われています。亜麻についてはこちらも参照してみてください。

 

リネンはずっと人類とともに歩み続けてきた天然繊維なんですね。

 

 

 

2.古代エジプトではリネンが主流?

ナイル川流域のエジプト文明でも、繊維は亜麻が栽培されていました。

世界最古の紡ぎ器はエジプトのファイユーム湖畔で発見されています。

これで少なくとも紀元前5000年頃からエジプトには糸を紡ぐ技術があったことがわかりますね。

それと一緒にリネンの布の残骸も発見されているんです。

 

リネンの布はエジプト文明ではすでに使われていたんですね。

 

古代エジプトでは紀元前3世紀ごろから、ナイル川流域でリネンが生産、輸出されていたようです。

 

古代エジプトにおいて、リネンは「月光で織られた生地」とも呼ばれ、ミイラを巻く布、神事における神官の衣装などに使わてきました。

なんだかもう、『世界ふしぎ発見!』のクエスチョンを出題されているような気分ですよね。知っている内容には心の中でスーパーひとしくんを掲げてみてください。

 

神事に使われるほほど神聖なものであったリネン。

ちなみに、古代エジプトの神話では、亜麻は女神イシスが作ったものとされています。

イシスは兄であり、夫でもある神オシリスが弟のセトに殺されたときに、オシリスの体を包む布を織るために亜麻を使いました。

それによりオシリスは復活するというお話があるんです。そこからリネンに「聖なる布」というイメージが生まれたのかもしれませんね。

 

 

 

3.服飾史で最古の下着はリネンだった?

これはwafuのトランクス(下着)ですが、服装史において最も古い下着は、

このエジプトの古王国時代にリネンで作られた「シェンティ」と呼ばれるものと言われています。

 

奴隷が着ているものは単なる腰巻き、もう少し位が上の人ではふんどしのようなものをイメージしてください。

とくにこの頃は下着と上着の区別ははっきりしているものではなくて、性別も階級も関係なくほとんどの人がシャンティのみで過ごしていたようです。

 

古代エジプト人はみんな白いリネンを身に着けていたんですね。

 

エジプトは牧畜も盛んだったので、羊毛の入手も容易にできたはずですが、

主に使用されていたのはリネンです。

なぜみんなリネンのシャンティを着用したかというと、素材の清涼感ということとは別に、

感染症を防ぐ目的がひとつにあったと思います。

そのとき服としての機能を考えると、麻という素材は抗菌性があるのでとても理にかなっているんですよね。

 

ちなみにミイラを保護する布としてリネンが使われたのは、上質なリネンが神聖なものであったということのほかに、防虫性能にも優れていたからだとも言われています。

ミイラを保護する布を虫に食べされてしまっては困りますもんね。

 

 

 

4.現在する最古の織物ドレスもリネン?

また、エジプトのとある墓地で見つかった、現存する織物のドレスとしては世界最古の「タルカン・ドレス」もリネンでできています。

5000年前のものですよ!

 

実物のワンピースがナショナルジオグラフィックのウェブサイトで見れますが、著作権の関係上画像が使えないので(涙)写真は首元が似たデザインのwafuのVネックワンピースです。。イメージでお楽しみください…。

 

それはともかく、単に体に巻きつけたり覆ったりするものばかりではなく、細部まで手の込んだオートクチュールドレスもあったということは、専門の職人もいたということですね。

現存するものは腰上丈ですが、元々は膝下まであったと考えされています。

 

腕にぴったり添う袖とVネックの首元、幾重もの細かいプリーツがあしらわれたデザインは、現在でも通用するようなデザイン。

そこから技術の高さがうかがい知れます。これは完全に当時の社会の繁栄を物語っていますね。

もちろん、こんなドレスを着られたのは、上流階級の人々だけだったと思います。

 

 

 

5.今回のまとめ

・紀元前8000年頃のメソポタミアで亜麻は栽培されていた
・古代エジプトではリネン素材がスタンダード
・世界最古の下着も、現存する最古の織物ドレスもリネン

 

 

 

 

文・綿貫大介 写真・Pixabay 岡田さん 笠原里紗

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