3月5日
グーグルカレンダーのお知らせ音で気がつく今日の予定。「卒業式」
目まぐるしく過ぎていく日常にすっかり頭から抜けていた。
卒業式と言っても自分の子供ではないです。
障害者支援学校の生徒で何度かこのスタジオに来てくれた女の子です。
僕は来賓として学校に向かい席につきました。
障害の程度は様々で、見た目では全く分からない子、落ち着きのない子、式中で退場する子もおります。
卒業式を外部の立場で触れるのはまた違った視点で感慨深いものでした。
生徒の顔つきを まじまじと見る事が出来たからです。
卒業式に参加する姿勢で生徒の人間性が分かるなぁ。そう感じましたよ。
3年間の集大成が心を打ち破って態度に出るのですから。
校歌を高らかに歌い、友人と顔を見合わせながら、はにかみながら泣く女の子。
先生に深くおじぎをして大きな声で感謝を告げる男の子。
僕はね、来てよかったと思いましたよ。
すっかり心が揺さぶられていました。
なぜここにいるのかと申しますと、
支援学校の生徒1名が4月から僕たちの仲間になります。一緒に働くのです。
はっきり言って小さな会社ですし、組織として盤石な体制ではありません、赤字の月もあります。毎日が戦いです。
即戦力が必須で求められる縫製業界で 本当に大丈夫なのかと 同業者に言われたこともあります。
一人前になるまでは時間がかかり、キャッシュが会社の持ち出しとなるのは分かっています。
ただ雇用すると決めました。僕らはこの子を守る義務があります。
いつもそうなんです、僕は身近に前例がない事をするのが好きで
今回は社会経験もない、縫製経験のないっていう真っ白なキャンパスに絵を描くのです。
もしかしたら 見るも鮮やかな素晴らしい絵になるかもしれないでしょ。いや、なると思う。
そのためにも、この会社組織を存続させて悲しませないように全力を尽くことを改めて胸に刻みました。
僕はこの式で友人と顔を見合わせながら、はにかんでいた顔をずっと忘れないでしょう。
縫製がするのが楽しいと言ってくれて、
僕たちの会社に就職することが夢だと教室に書いてくれて。
時間はかかるかもしれないが立派にwafuの服が縫えるまでに成長させます。
僕はこの女の子と一緒に働く道を選んだ。
障害?そんなものは個性だと言っておけ。といいたい。
文/写真・綿貫陽介