D&DEPARTMENT重松さんからみた僕の立ち位置は。
県職員の方の引き合わせでD&DEPARTMENTのコーディネーターである重松久恵さんがこのスタジオに来て下さった。
中小企業診断士の資格も持ち、元はアパレル事業をされていたので僕らから見ればこの道のプロフェッショナルだ。
重松さんは60歳を少し過ぎたらしいがとてもアクティブで的確で物事をハッキリ言う。
何しろ年齢を言うまでわかんなかった。
目利きと決断力に裏付けがあるからバイイングやいろんな事業の先頭にたって活躍されてるんだろうと推測できる。
まず縫製スタジオの建設の事、作り手の事、僕の気持ちなどを話し2Fショップに行き作品をお見せした。
即決2着 お買い上げいただき、 え、、いいんですか、いいんですよ。
この方、雰囲気ただもんじゃないと第一印象で思ったがやはりだった。
この人ならと 僕はずっと胸にあった悩みを思い切って打ち明けた。
それは今後、卸販売に力を入れていこうと考えてること。
多くの成功ブランドさんは卸販売がメインです。それは販売店さんが多く出来ればブランドの認知もでき多くの服が流通します。
僕の一番の柱、根幹の部分は多くの作り手を育てる事、それは生活に無理し過ぎない給料形態を実現しないと意味がないのです。
なので多く売らなければなりません。
僕達はネットを通して個人個人のお客様に直接販売しています。
ですが認知も少なくなかなか広がっていきません。作り手やスタッフに十分な売り上げを確保するにはまだまだ遠いです。
重松さんがズバッと言ってくれたのが この素材で、この縫製でこの価格は魅力的だと。安すぎると。
卸販売の場合は半分くらいメーカーにもっていかれるから数多く作らなければならない。利益幅は薄い。
甲府に直営店でもつくって対面ではここでしか買えないという事の方が絶対うけるし生産をコントロールできる。
この服が認知されればすごい事になると。
そ、そうなのか!
たしかに国産でこの素材でデザインやパターンを引いてこの値段で提供できることはすごいことだと自負していたが、今忘れていた。
ただそれを伝えるのが非常に難しい。
本当は重松さんが言ってくださったように自分達だけで販売したい。そこにも雇用が生まれ企業が循環する感じが僕が好きなんだ。
ネットだとモノが溢れているし、情報も多い、企業も綺麗にブランドをプロモーションするし
洋服の作り手なのでその辺りがプロじゃなく、うといからどうしても負けちゃう。
いいものだと思って作ってもおもうように売れて行かないのが現状。
それでもD&DEPARTMENTの第一線で活躍しているプロから作品に対し背中を押してもらったのは嬉しかったです。
間違ってなかったと。
後は認知力をいかに高めるか。みんなに知ってもらうか。
一から考え直しだ。
重松 久恵(しげまつ ひさえ)氏
プロフィール:D&DEPARTMENT コーディネーター。繊維産業における問題を提起し、デザインで解決する試みなどに取り組んでいる。2007年より起業し、ブランドの立ち上げや商品開発など、様々なプロジェクトに参加。2015年に中小企業診断士の資格を習得し、公的支援機関のアドバイザーや、商品開発や販路開拓、ジャパンブランド育成事業を中心に中小企業やクリエーターの支援を行っている。
文/写真・綿貫陽介