服屋が教える!服をきれいに保存する、洗濯後の仕上げ・アイロンのかけかた基本編
前回はお洗濯の基本をざっくりとお伝えしました。
今回はそれに引き続き、洗濯後のきれいな仕上げのポイントをお伝えしたいと思います。
1.洗い・脱水・干し方に気をつけると、きれいに仕上がる
2.アイロンのかけかた
2-1.ウール
2-2.コットン
2-3.リネン
3.余談・なぜアイロンで服のしわがとれるの?
1.洗い・脱水・干し方に気をつけると、きれいに仕上がる
前回もお伝えしまして、これからも詳細をお伝えしていこうと思いますが、繊維の性質によって洗い方に注意が必要です。水を嫌う繊維、洗剤の性質との相性など、そういった面に気を遣うと、仕上がりがきれいになります。
衣類によっては脱水しすぎてしまうと、しわが深く付いてしまう場合があります。
脱水の仕方には気をつけたいですね。
また、洗濯物は、干したときの状態のまま乾きます。干すときにしわをできるだけ伸ばしておくのが良いでしょう。
ウール・カシミヤ衣料で重量のあるものは、ハンガーに掛けると水の重みで伸びてしまう可能性があるので、ご家庭でお手洗いする際は平干しをおすすめします。
2.アイロンのかけかた
大抵の場合は、洗濯表示どおり洗い、しわを伸ばして干せば、
乾いた後も心地よく着ることができます。
深いしわを伸ばしたい、タック等の形を整えたいなどの場合に、アイロンがけをおすすめします。アイロンがけのチェックポイントは3つ。温度・湿度・力加減です。
・温度
洗濯マークを確認していただき、適温でアイロンがけを行ってください。
《アイロン・洗濯マーク》※2016年12月に表示改定がありました。
2016年12月以前:アイロンマークの中に高・中・低の表記あり
2016年12月以降:アイロンマークの中に「・」マークがあり、「・」の数が多いほど高温を意味する
・ドライ、スチーム、霧吹き
・アイロンの当て方 すべらす・押す・浮かす
(すべらす際には、アイロンをジグザグさせずにまっすぐすべらせます)
・タックのアイロンがけは、コチラの記事をご参照ください
https://handmade-wafu.com/essay/iron-2/
生地の種類でのアイロンの注意点を簡単にまとめましたが、
生地の厚みや更に細かい種類によって適する方法は異なります。今回は大まかな部分をご紹介します。
2-1.ウール
・温度:中温~高温(120~180度)
・スチームはあまりかけない
・アイロンは浮かせましょう
・部分的にあて布をすることをおすすめします
・厚手のコートに使われる生地は高温180度でアイロン可能。薄手のものは温度を低く。毛並みのあるものはスチームを控える
2-2.コットン
・温度:厚手でなければ中温(120~140度)
・ドライ・スチーム
・アイロンをすべらせて
2-3.リネン
・温度:中温(140度前後)
・深いシワにはスチームまたは霧吹きで対応します
・アイロンをすべらせてかけてください
3.なぜアイロンで服のしわがとれるの?
素朴な疑問ですが、なぜ、しわをとるのにアイロンをかけるのでしょうか?
熱が繊維をまっすぐにするのでしょうか?
実は、繊維の分子が熱でもとのしわのない状態に戻るため、なんだそうです。
服は布でできていて、布は繊維でできています。そして、繊維は細長い分子が絡まり合ってできているようです。その分子はもともと緩やかに縮れているのですが、それが引き伸ばされて折れ曲がった状態がしわになるようです。
熱の熱エネルギーはその分子に働きかけ、分子が振動します。その振動で折れ曲がった部分がもとの緩やかに縮れた形に戻ることで、しわがとれるという仕組みだそうです。
アイロンはその熱と自重で衣類のしわをのばす道具として、古くは古代中国からそのようなかたちのものが使われていたそうです。
洗濯後のお手入れも、少し気を遣うだけで、
次回も整ったまま洋服を着れますね。
自分も少しずつ実践できたらと思います。
文と写真・笠原里紗