世界に自分だけの洋服をつくる。服飾系職人とは?
日本の職人技が素晴らしいことは、世界的にも有名です。
そしてその技術に関しては、服飾系の世界にも言えることです。
wafuでも服職人が日々力の限りを尽くしていて、
また後継者として修行しているスタッフも、充実した縫製ライフを送っています。
70年代から続いた大量生産大量消費の流れで安価な洋服が出回っていて、
洋服は簡単に作って簡単に買うもの、というイメージが浸透しているかもしれません。
かく言う私が、そのひとりです。
しかしwafuで働いていると、「洋服」というこれまでの概念が変わっていくのがわかります。
そう、私は、洋服をただの「商品」と思っていましたが、
wafuにあったのは、「作品」だったのです。
wafuでは洋服を一人一着つくるという作業工程です。
大抵の服飾系の現場の場合、洋服の制作で、一人が洋服の同じ部分の同じ作業をずっと担当するのが主流です。
そのほうが効率よく多くの商品を作れるからです。
しかし、wafuでは一人が一着を責任持って作ります。
「自分が作った作品」が出来上がるわけです。
その「作品」を作っているのが、「職人」です。
生地のこと、道具のこと、糸のこと、縫い目のこと、デザインのこと、
そういった要素をひとつひとつ深く理解し、形にしていく。
それは、目に見えない部分まで。
あからさまに見えない部分でも、
「この服を着る人が、着やすいように、長く着れるように」
その人を想って、装飾の粗を出さないようにする、生地の織り方にも気を配る、ボタンを美しく機能的につける…その技術には、枚挙に暇がありません。
それほど人を想ってひとつのものをつくれる人は、
世界を探してもそう多くはいないでしょう。
そうすることが、お客様に喜んでもらう最善の方法だと知っているから。
私の周囲を見渡しても、服を着ていない人はいません。
人間が服を身につけるようになったのは、
防寒等の機能的な理由からではなく、
装飾によるアイデンティティの獲得だったという話もあるようです。
どの説が有力かは私にはわかりませんが、
少なくとも、ファッションを必要としたり楽しんだりする文化が私たちにはあります。
その文化を支えているのが、服飾系の職人たちです。
イメージを作品として世に出し、それを誰かが身にまとって日々を装う。
そんな職人さんたちの背中を追っていく記事を書いていく予定です。
wafu所属のベテランの方から、これから職人を目指していく若手まで、
その日々の生き様や想いを、その技術とともにお伝えできたらと思います。
文と写真・笠原里紗