2018年 事業を振り返る 1月~4月
2018年 事業を振り返る。
wafuの内側の話になるので興味のある方だけに読んでいただければと思う
専門的用語もあるので、ほんと興味のある方だけで結構っす。
分割して1~4月まで さしあたって日記のように記す。
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昨年12月8日に司法書士から連絡が入り、法人成りをして「わたぬき服装合同会社」となった。
僕たちはwafu(ワフ)というアパレル自社ブランドを展開している。
後で知ったのだがこの日は釈迦が悟りを開いたとされる日だったらしい。
すべての従業員に厚生年金と有給を。そんなまっとうな会社はこの縫製業界では珍しい 。 この世界を知れば知るほど思う。
1月
法人なりをしてすぐに試練がまっていた。まだまだ技術、スピード不足の従業員が多く、それに加えて細かなOEMのオーダー。
OEMは一社だけ請け負っている。学生服の会社で後は自社ブランドだけで運営している。
地元の学生服の仕立てを手伝っているが入学式近くになると規格外に大きい子、小さい子、予想していたサイズから外れた子の1着づつのオーダーが入るようになる。
体はフル回転でこれ以上ないくらい忙しいのだか結果マイナス75万の赤字となっていた。
自社ブランドのネット販売のおかげでこれくらいの出血で抑えたのだが、儲からない仕事に多くの人員を裂くのがいかに無駄か 痛いほど分かった。
この補填を埋め、ネット事業をもっと伸ばせるようシステムとしてAIを利用してGoogleアナリティクスを解読しマーケティングができるという業者とコンタクトをとりスカイプで何度かやり取りした。
業務の効率化とそれにそう人員の削減になると考えた。実際使ってみると、
すでに僕たちのノウハウを超えるものはなく、当たり前のことしか提案がない、サポートの人間も回答が一週間後になるなど対応に不満がありわずか10日で辞めた。
数十万というバカ高い初回利用料も無駄になったし腹が経ったがネット事業の地盤がゆるい僕たちは不安でたまらず つい手を伸ばしてしまう
そんな藁をもすがる状態であったのはいうまでもない。
2月
入学式まで学生服の細かなオーダーが来る。裁断、縫製も一着づつで本当ににしんどいところだ。
従業員を攻めるわけではないが 時間=お金 の意識をしてくれと心の中で叫んでいた。
それはせかせか動く僕の態度ですでに表にでていたのかもしれない。
以前、台湾の販売会にも同行した制服縫製担当の台湾人女性 コウさんに工程の効率化を何度も説明して ここをこうすれば2秒縮められる!と具体的な方法も教えていった。
その合間をぬいデザインやブランド創りに関するセミナーへ参加を重ねていった。
当初は2月に卸販売の為の展示会に出店しようと考えていて、あまりの忙しさに断念した。今思えばそれで良かったと思う。だってブランド力があまりにもなさすぎる。
月末に差し掛かると僕は焦りに焦っていた。マイナス110万の大赤字であったからだ。
忙しさにかまけて数字を意識していなかった。忙しいが儲からない。利益率のいい直販に力を入れたい。心底そう思った。
やはり人件費がかさむな。
ただ覚悟はしていた。人が育つまではどうしたって仕方がない。どの程度の赤で抑えられるかが明暗を分ける。
社会保険料の引き落としが怖い。
3月
キャッシュフローも底をつき始め、不安で押しつぶされそうになる。
どうしようもない苛立ちもあるが手を動かすしかない。
相変わらず入学式までは学生服製造もしている。入学式に制服が手になかったら僕たちに責任、こればっかりは親の立場でモノを言うと絶対に許されないのだ。
学生服の会社とは僕が仕事を始めたと同時にお付き合いをした。地元の企業だ。
専務である社長の息子とは1歳違いということもあり会社ぐるみでナイターソフトボールなんかしていたのでいい関係を保てている。
しかしながら亡くなられた会長は縫製職人だったことから制服の仕様が半端なく凝っていて一着作るのに時間がかかる。
とても、毎年の最賃上昇に対応ができなくなってきていた。
制服縫製担当のコウさんに自分の遅い工程を解消できるようにさらに細かい指示していった矢先、退職したいとのこと。
言い方が厳しかったのだろうか、僕は怒鳴ったりしないし手順は自分で見せてから はい、やってみて というふうにしている。
それがプレッシャーだったのか自分のペースでやりたかったのか、今も真相は分からない。
ただ猫の手も借りたい忙しい最中にスタッフ一名失ってしまった。
もう、やるしかない。
月末には横浜京急百貨店(上大岡)で催事販売がある。webスタッフ総出でタグ付けやチラシ作りなど準備にとりかかる。
当然web自体の業務も手薄になり双方で忙しさはピークになった。クタクタの状態で横浜へ向かう。
4月
横浜京急の販売は好調で百貨店のスタッフさんもバンバン買ってくれた。目利きのプロに買ってもらったのが嬉しくてたまらなかった。
販売員は人材紹介の販売員で百貨店やアパレル販売に慣れているスタッフをつけてもらった。
畑戸さんという女性だが結構チャキチャキしていて気持ち良い接客をしてくれる。
本当は自前でうちのスタッフをつければいいのだか、ホテル宿泊費や旅費、その期間は通常業務ができない。
人員いっぱいいっぱいのwafuにはその余裕すらなかった。
畑戸さんは業務連絡もまめに入れてくれてすっかりwafuの一員のように思えた。
そんな中、仰天な電話が入る。
顧問の堀内税理士から今月消費税が170万ほど引き落としされます。
ええー、なにかの冗談ですか!堀内さん
僕はすっかり忘れていた。個人事業から法人成りをしてその消費税だった。
消費税は代金をもらった瞬間にプールしておかなければならないが出費が多く持ち出しとなっていたのだ。
とてもそんなキャッシュはない。
ただ、月末に入れ替わりに入金がある。
それでまかなえるかもしれないが消費税は25日の引き落とし、入金は30日 5日間に合わない。
ドタバタの借り入れ劇が始まる。
数時間で貸借対照表と損益計算書をまとめ銀行へ 「すぐに返す」というキーワドに弁論会でもやるかのごとく連呼して口説き落としたのだった。
引き落とし6日前のことだった。
なんとか延滞はまのがれ ホッと胸をなでおろす。
普段 飲まない缶コーヒーを自販機で買い、ゆっくりと喉を動かしながら飲んだのを覚えている。
次号へつづく