春待つ寒さの中で、すこしあったかいお話を。wafuの「暖リネン」
金曜日は、wafuの服職人に関する記事をお届けしていきますが、
何名かのお客様からのご要望もあり、変則的に季節的な話題もお伝えしていこうと思います。
日も長くなり、少しずつ春の気配がしてきましたが、
実際朝晩冷え込む日が続きます。
この最後の寒さには、温かい話題をと思いまして、
今シーズン取り扱うのが最初で最後になるであろう、
「暖リネン」についてお話します。
「暖リネン」は、文字通り、暖かいリネン素材のことです。
「リネン」「麻」と聞いてイメージする生地は、
「夏向き」とお考えの方が多いと思いますが、
wafuでは冬でも温かい、起毛加工したリネンを作品に仕立てています。
冬にもリネン・麻をお楽しみいただきたいからです。
そして、起毛加工したリネンの作品群を「暖リネン」作品としています。
読み飛ばしても差し支えありませんが、気になりましたので調べてみました。
そもそも起毛はなぜあたたかい?
起毛、もしくは羽毛といった形状のものは、
ひだが重なり合って中に動かない空気の層ができます。
この空気をためる性質が、鍵となっています。
実は、保温に重要なのは、この空気です。
空気は動くことで熱を遠くに速く伝える(運ぶ)ことができます。
暖房器具で部屋があたたまるのはそのためです。
空気は移動し続けると、熱は遠くに運ばれるだけ。
なので、空気が移動しないように部屋ではドアを閉めますね。
しかし、空気は閉じ込めておいて動かなければ、
金属に比べて1万倍ほど断熱性(熱を移動させない性質)がよいそうです。
そして起毛は、細かい毛の間に空気を閉じ込め、
空気を動かないようにすることで保温性を生み出しています。
起毛が温かい理由がわかったところで、
リネンに話を戻しましょう。
リネンはもともと起毛していないことは、皆さんもご存知だと思います。
なのでwafuでは、外部にお願いをしてリネンを起毛させています。
そこでは、針布(無数の針がついているベースとなる布についている布)や
あざみを巻いたローラーを回転させて、その上に布を走らせて、
その生地の表面をひっかくことで起毛させます。
その後、その起毛した部分を一定の長さに刈り込んで、加工が完成し、麻が冬用に大変身。
リネンは起毛することで、
温かく着れるだけではなく、
独特の外観や肌触りを楽しめるようになります。
実際に暖リネンの作品をお持ちのお客様はご覧になったかと思いますが、
暖リネンの作品は、通常のリネンのさらっとした印象と違い、
起毛加工している分、外観も肌触りもふんわりとやさしい印象です。
このような印象の冬物は、なかなか見かけない、と思います。
普段某量販店のとても軽いダウンをご愛用の方には、
暖リネンのコートは少し重く感じるかもしれませんが、
布の雰囲気をいい意味で裏切るしっかり感があって、
すっきりとしたラインの内側にコートとしての保温性を兼ね揃えています。
裏地付きの作品は、起毛部分を確認していただくことができませんが、
その肌触りで、100%違いがわかります。
この暖リネンワンピースの柔らかで温かな風合いがすてきだな~と思います。
私にとって今は高価で手が出ませんが(涙)
一生懸命稼いで、暖リネンの作品を着れたらいいな~と思っています。
暖リネンの作品はこちら
https://handmade-wafu.com/hpgen/HPB/entries/85.html
そろそろ春物の季節。
暖リネンとは一旦お別れですが、
次シーズン、みなさまにまた新しい暖リネン作品をご提供するのを
楽しみにしたいと思います。
文・笠原里紗