その向こうの、人と。
私は昔、製品が製品として量販店の棚に陳列していることは、
あたりまえのことだと思っていました。
それを作る人や環境や売る人のことなど、
考えたことがありませんでした。
しかし、身の回りにあるほとんどのものは、
誰かがどうにかして作ったものだと、
今ならわかります。
私はこうやってインターネットを介しての接客をはじめましたが、
それをするにもパソコンやインターネット環境が必要で、
パソコンを製造する人、設計する人、プログラミングする人、
そして、インターネットの回線を管理する人、ブロバイダ企業を運営する人、
そういう人たちの仕事のおかげで、私もまた、
自分の仕事ができ、またそれを楽しむことができます。
私は最近やっとそのつながりを意識するようになりました。
商品の向こうに、自分と同じ「人」を感じるようになりました。
この環境の恩恵を受けて、そのような日々を送れるなら、
自分は自分のポジションから、そういう人とのつながりを
良いものにしたいと思うようになりました。
服にも同じことが言えるのではないでしょうか。
もちろん、自分で生地の原料となる植物を育てるところから始めない限りは、
生地や服を作る人のおかげで、服を手に入れることができます。
その人はどんなふうに生きているんだろう。
服を作る人たちのいる場所は?人件費は?材料費は?製造方法は?想いは?
自分とその人のつながりと循環は、健康的なものだろうか?
近年、海外でのファストファッションの工場での事故があってから、
スローファッションの動きが広がっていることを知っている方は多かろうと思います。
ものとお金の取引という淡白な関係ではなく、
そのものが作られている過程や環境を含めた「作品」を作る人と
それを必要としている人が
他のいろんな要素を含んで有機的に関係している。
そういうことをお多くの人が意識しはじめたように思います。
自分はまだ余裕がなく、ファッションのお世話になっていますが…
そのような現状はいつも心に留めておきたいと思っています。
そんな世の中の流れの中で、wafuに出来ることはたくさんあると思います。
これから必要とされる、ものづくり。
つくる人と必要とする人が良いつながりになれる、洋服づくり。
私もそれを支える一人として、貢献できたら良いなと思います。
文・笠原里紗