ワークジャケットには、独特の魅力があります。
無骨な服は好きだけれど、無骨な人になりたいわけではない。
飾り気がなくて、実用的で、少々荒っぽく着ても絵になる。
しかし、その無骨さが、ときには自分の着たい雰囲気よりも
強く出てしまうことがあります。
だったら、ワークジャケットのいいところは残したまま、
もう少し肩の力を抜いてみたらどうだろう。
そんな考え方が、この一着にはよく似合います。
まず目を引くのは、左右に並んだ大きなポケット。
ダーツを入れて立体的に仕立てているので、
何も入れていなくても、ふっくらとした丸みがあります。
ポケットというのは、本来、何かを入れるためのものです。
それなのに、空っぽのときからこんなに存在感がある。
何かを入れる前から、既にいい仕事をしています。
その丸みはポケットだけにとどまりません。
襟をなくしたすっきりとした首元、
ゆるやかな曲線を描く裾。
直線的になりがちなワークジャケットに、
少しずつ柔らかな表情を加えています。
脇には、ボタンで開閉できるスリットも設けました。
ボタンを外せば裾の表情が変わるので、
その日の重ね着や好みに合わせて楽しめます。
無骨さを消してしまうのではなく、ほどよく残す。
だから、カーゴパンツと合わせれば
ワークらしさを楽しめますし、
ロングスカートに羽織れば、
甘さを抑えた大人のカジュアルにもなります。
そして、何度も袖を通したくなる服だからこそ、
生地にも目を向けていただきたいのです。
使っているのは、25番手の中厚地リネン。
太めの糸で織られた、ふっくらと肉厚な生地です。
適度なハリがありながら、柔らかさと落ち感も持ち合わせている。
そして、この生地の楽しみは、着始めだけでは終わりません。
最初は少し硬さを感じることがあっても、
洗濯を繰り返すうちに繊維がほぐれ、
くたっとした柔らかさと、
とろみのある風合いが増していきます。
丈夫な太い糸で織られているから、
気負わず洗いながら長く着ていける。
秋冬には重ね着をして、
季節が変わればまた違った組み合わせで羽織る。
そうやって付き合っているうちに、
最初は少しよそよそしかった生地も、
だんだん馴染みのある表情に変わっていくのでしょう。
新品のときだけが、このジャケットの完成形ではないのです。
気がつけば、今日も手が伸びている。
そんな服になるために、必要なのは派手な装飾でも、
特別な着こなしでもないのかもしれません。
ちょっと無骨で、どこか愛嬌がある。
その塩梅が、ちょうどいいのです。
※ご注文をお受けしてからお仕立てしておりますので3週間~4週間ほどお時間をいただきます。
何卒ご理解をお願い致します。