大人になっても、可愛いものには弱い。
これはもう、仕方のないことだと思います。
特に困るのが、実用性まで備えている可愛いものです。
可愛いだけならまだしも、ちゃんと使えるとなれば、
こちらとしても抗う理由がなくなってしまいます。
このスカートのポケットが、まさにそれ。
左右に大きく配置されたポケットは、口の部分にゴムを入れ、
くしゅくしゅとギャザーを寄せたデザイン。
何かを入れるためのポケットですが、正直なところ、
何も入れていなくても十分に可愛いです。
両手をすっぽり入れると、その丸みがいっそう引き立ちます。
ちょっと手を休ませているだけなのに、なんだか絵になる。
ポケットというものも、ずいぶん出世したものだとつくづく思います。
しかし、このスカートの魅力は、
ポケットに手を入れて立っているときだけではありません。
一歩踏み出すと、もうひとつの工夫が見えてきます。
裾が、前と後ろで違うのです。
前は少し短く、後ろに向かって長くなるライン。
たっぷりとしたロングスカートでありながら、
前側には足元がのぞく余地があり、
歩くときの足さばきにも配慮されています。
この前後差が、足元の見え方にもいい仕事をしています。
正面からは足首や靴がほどよく見え、横からは後ろに流れる裾が自然な奥行きをつくる。
ただ長いだけのスカートとは、ここが違います。
そして、ぜひ合わせていただきたいのがブーツ。
前側の裾からブーツが顔を出し、後ろ側には長めのスカート丈が残る。
せっかく選んだお気に入りのブーツです。
裾の中に全部隠してしまうのも、少々もったいないではありませんか。
もちろん、スニーカーと合わせるのもおすすめです。
ボリュームのあるスカートにカジュアルな足元を合わせれば、気負わず楽しめる装いに。
靴を変えるだけでも、この裾のデザインは違った表情を見せてくれます。
そして、このたっぷりとした生地の広がりを楽しむために選んだのが、
25番手の中厚地リネン。
太めの糸で織られた生地は、ふっくらと肉厚で、
適度なハリと柔らかな落ち感を持ち合わせています。
最初は少しハリを感じることがあっても、洗い込むほどに繊維がほぐれ、
くたっとした柔らかさや、とろみのある風合いが増していく。
着始めの立体感も、穿き込んでからの柔らかな表情も、
どちらも楽しんでいただきたいのです。
丈夫な太い糸で織られているので、
気負わず洗いながら長く愛用できるのもうれしいところ。
季節が変われば、合わせるトップスや靴を変えて。
秋冬にはブーツを合わせ、暖かな季節には軽やかな足元で。
そんなふうに穿く機会を重ねながら、
生地そのものも少しずつ育っていきます。
ポケットに手を入れているときは、ちょっと可愛く。
歩き出したら、裾のラインがきれいに揺れる。
可愛いだけで終わらないところが、大人にはうれしい。
もっとも、ポケットの可愛さに関しては、
いくつになっても素直に喜んでいいと思いませんか。
※ご注文をお受けしてからお仕立てしておりますので3週間~4週間ほどお時間をいただきます。
何卒ご理解をお願い致します。