総ゴムのパンツを穿くとき、
私たちは「楽さを選んだ引き換えに、部屋着っぽさを受け入れる」という
暗黙のトレードオフを課されていました。
その甘えを、フロントに深く刻まれたタックの直線が、
実にかっこよく一喝してくれます。
夏、私たちがボトムスに求める条件は、シンプルで、かつ極めてシビアです。
「とにかく肌に張り付かないでほしい」これに尽きます。
気温が上がるにつれ、太ももやヒップのまわりで服がじっとりと自己主張を始めた瞬間、
私たちの優雅な一日は静かに終わりを迎えるからです。
その容赦ない夏のストレスに対する、
wafu.の物理的な解答が、この「ウエストタックパンツ」です。
かつて美しいシルエットで高い評価をいただいた定評のある型紙をベースに、
今回は夏の衣服内気候をドライに保つ「梨地リネン」を採用して仕立て直しました。
このパンツの最大のたくらみは、ウエストまわりの設計にあります。
お腹を締め付けることなく、どこまでも優しく馴染む豊かなシャーリングゴム。
それだけだと、どうしても腰まわりが膨らんで部屋着のように見えがちですが、
フロントの左右に深く刻まれた縦のタックが、そのボリュームを綺麗にいなしてくれます。
下半身のラインが自然に目立たなくなり、生地の美しい落ち感だけがまっすぐに流れています。
性別も骨格も問わず、穿く人すべての下半身をクリーンに整えてくれるユニバーサルな一本に仕上がりました。
ギャザーのふんわりとした余白を、タックの直線がカチッと引き締める。
この相反する要素の組み合わせによって、
穿いている本人はパジャマ並みに寛いでいるのに、
周囲の目には「品格のあるスラックス」を穿いているように映るのです。
一種の、うれしい騙し絵のような構造と言えなくもないですね。
そして、肌に触れる布地は、面ではなく「点」で接する梨地織り。
表面の細かなシボが肌との間にわずかな隙間を作り続けるため、
どれだけ汗をかこうとも、生地が肌にベタッと平手打ちをしてくるような不快感はありません。
歩くたびに裾から入る風が、その隙間をすうっと通り抜けていく。
服の中に、自分だけの避暑地を確保しているような心地よさです。
ベルトを通して少しカチッと見せることもできれば、
ポケットに無造作に手を入れて軽快に歩くこともできる。
コーディネートに余計なエネルギーを使いたくない日も、
これさえ穿いておけば、外見の品格はパンツがすべて引き受けます。
不快なベタつきから完全に解放された、
知的でスマートな夏を、この足元から始めてみませんか。
※ご注文をお受けしてからお仕立てしておりますので4週間~5週間ほどお時間をいただきます。
何卒ご理解をお願い致します。