大人の「黒いロングワンピース」は、ともするとスリリングな乗り物です。
油断すると、途端に「高名な魔女」のようになってしまう。
シンプルで無難に見える黒だからこそ、ただの「大きな黒い布の塊」に身を隠しているように見せないためには、圧倒的な“知性”が必要になります。
その黒の迷宮に対する、職人の針仕事から届いた知的な解決策があります。
この「ピンタックワンピース」です。
まずは写真の胸元をじっと見つめてみてください。
気が遠くなるほど細かく、整然と並んだ無数のピンタック。
さらに後ろ姿にも、同じように端正なラインが背中を飾っています。
これは単なる「飾り」や「可愛らしさ」のパーツではありません。
光がこのワンピースに当たった瞬間、このミリ単位のピンタックたちが、黒い布の上に「光と影の美しいストライプ」を彫刻のように浮かび上がらせるのです。
ただの平坦な黒い塊が、職人の手仕事によって、一瞬にして奥行きのある立体的なアートへと仕立て変えられる。
この意匠があるからこそ、大人が着たときに「おすまし顔」の知的な気品が立ち上ります。
ところが、この最高に澄ましたドレスの内側で、当の本人の体はこれ以上ないほど「完全なサボタージュ」を決め込んでいます。
ピンタックのホールドから解き放たれた下半身は、空気をたっぷりとはらんで泳ぐほど、ゆったりとしたプルオーバーシルエット。
そして何より、まとっている生地はwafu.で最も薄く、最も軽やかな「雅亜麻」です。
向こう側の光をきれいに透かすほど薄いリネン100%ですから、これだけ贅沢にロング丈のボリュームがあっても、着ている感覚はまるで「羽毛を一枚まとっているだけ」のよう。
風が吹けば、衣服の中に涼しい風の通り道がいくつも出来上がり、夏の黒を穿いているとは思えないほどの清涼感が体を包みます。
袖口に向けてほのかに「ポワン」と膨らむバルーンスリーブも、心憎い仕掛けです。
この絶妙な丸みが、黒という色が持つ特有の威圧感を上手に引き算し、大人の日常にふさわしい、上品な愛嬌を添えてくれます。
袖口はすっきりとしたカフスで留められているので、手首をすっと見せたときのエレガンスも忘れていません。
1枚で潔く着て、お気に入りのサンダルを合わせるだけで、どこへ出かけても気後れしない夏の正装が完成します。
もちろん、なかにボトムスを覗かせて、いつもとは違うリズムを楽しむのも素敵です。
左右には、私たちの日常に絶対に欠かせないサイドポケットも、完璧な位置に仕込まれています。
外見は、街の人々が思わず振り返るような、凛とした貴婦人の佇まい。
けれど内側は、誰にも言えないくらい涼しくて、パジャマのように楽ちん。
この夏は、職人の執念が詰まったピンタックの魔法を味方につけて、すました顔で、最高に涼しくお過ごしください。
※ご注文をお受けしてからお仕立てしておりますので3週間~5週間ほどお時間をいただきます。
何卒ご理解をお願い致します。