ただ生地を集めて、形にしただけでは出てこない表情があります。
それは、時間をかけて、人の手で寄せて、整えて、少しずつ立ち上げていく表情です。
このタブリエの主役は、まさにそこ。
腰まわりに施したハニカムスモッキングです。
均一に連なるその意匠は、きれいに整っていながら、機械的ではありません。
むしろ、生地の上に人の気配が残っている。
この陰影、この奥行き、この小さな起伏の美しさは、
やはり手仕事でしか生まれません。
タブリエというと軽やかで、気負わず着られるもの。
それはもちろん魅力です。
しかしこの一着は、その軽やかさの中に、しっかり手間を潜ませています。
今回使ったのは、wafu.では初出となる薄リネンデニム。
これまでのリネンデニムとは混率も厚さも異なり、より春夏に向いた印象の生地です。
その軽やかな素材感の上に、あえて手仕事のスモッキングを重ねる。
この組み合わせが、ニクい。
重たくならないのに、軽すぎという感じもしない。
ただ“雰囲気のある服”ではなく、きちんと奥行きのある一着に仕上がっています。
スモッキングの下にはたっぷりとした分量が続き、動くたびに布がゆれる。
けれど視線をいちばん惹きつけるのは、やはり腰まわりです。
飾りというには静かで、実用というには美しすぎる。
その中間にあるからこそ、この意匠は印象に残ります。
前から見ても、後ろから見ても、手仕事の帯がきちんと効いているのがこの作品の見どころです。
背中側まで抜かりがない。
見えないところで手を抜かない、ではなく、見えるところ全部でちゃんと美しい。
なかなか骨のあるタブリエに仕上がりました。
手仕事の価値は、声を張り上げなくても伝わることがあります。
近くで見たときに、あ、これは簡単には作れないなとわかること。
着たときに、なんだか気分まで上向くこと。
そんな体験としての説得力のほうが、むしろ長く残るのかもしれません。
手でしか生まれない陰影を、春夏に向いた新しいリネンデニムにのせる。
その組み合わせは、少し贅沢で、かなり魅力的。
軽やかなのに、奥行きがある。
そんな一着をお探しの方に、静かに、でも強くおすすめしたいタブリエです。
※インディゴ染めのため色落ちがつきものです。
最初は単品での洗いを推奨します。また白などのコーデにはご注意ください。
また、リネンデニムはお洗濯の環境によって1cm~3cmほどの縮みがございます。
※ご注文をお受けしてからお仕立てしておりますので6週間~7週間ほどお時間をいただきます。
何卒ご理解をお願い致します。