その道で生きる人・2

【負けない】

只今、職人を育てる計画と題しましてその建物を建設中でございますが

休み時間にちょっと覗いてみて目に留まったのが若い作業員さんの姿。

とても若い。

いてもたってもいられず話を伺いました。



高校を中退し、この職に就いているとのこと。

シャイで礼儀正しい彼の態度や言葉は今後、生きていく上で必ず活きてくる

そう思うのです。

この仕事どうですが、やりがいがありますか?の問いに

「はい!」

親方がいたので無理にでもそう言ったかもしれませんが、

すぐに答えてくれたので嬉しくなりました。



親方がちゃんと手順を見ています。


20年前をピークに労働人口が減り、丁度その頃、縫製工場も賃金の安い海外

への移転が急速に進みました。メイドインジャパンではなくなったんです。

職人さんも急速に減っていきました。

この問題はどこの町工場でも同じですね。




職人は特にですが数こなして覚えます。

こういう若い世代からの積み重ね経験が高い技術力を生むと考えております。

高校中退だからって恥ずかしくないし、負けてないよ!


長い海外移転で技術力の低下、人手不足、高齢化など

今、痛いしっぺ返しがきております。

しっぺをソフトタッチくらいにできたら僕は本望です。




2人一緒の写真いただけますか!

あっはい、

若い作業員が親方に「もっと近づいて撮りますか」とお互い距離を縮めた。

この一言を聞いた時にいい関係だなと。

親方も人が良さそう、明日もまた頑張って。




文・綿貫陽介