洋服のできるまでー服職人の作品と技術に向ける想い

 

 

 

 

wafuの服職人の技術を支える中心にいるのが、

綿貫会長です。

 

激動の昭和の時代を生き抜き、

その技術を伝え続けている綿貫会長。

その職人としての想いをお伺いしました。

 

 

職人として、生き抜いていく覚悟。


 

「買って捨てる」が商品の在り方になった高度経済成長期。

大量生産・大量消費の考えが主流となり、

「売れれば、商品の質はそこまで問わない」

というやり方で生産が行われていたようです。

職人はそれでも、いいもの、確かなものを作り続けていました。

 

 

一時期は、大量生産のものは手に届きやすいけれど、

技術力と丁寧さは職人にはかなわない、と言われていましたが、

近年では大量生産の現場においても技術が導入され、

質の良いものがどんどん出てくるようになってきた、と綿貫会長は語ります。

 

 

 

 

本当の意味での技術力で差別化を図らないと、

「職人技」はそのネームバリューを失ってしまう。

 

 

 

 

 

 

普段使いの洋服が、職人のつくった服である必要性は、

多くの人にとってはないのかもしれません。大量生産の服で十分。

 

 

とは言え、大量生産の商品の質は、

実際はまだまだ職人技には及びません。

ならば、その人の特別な瞬間の、大切な一着。

職人が仕立てた丁寧な服で装ってほしい。

 

 

綿貫会長はその特別な一瞬に

選んでもらえる服を作ろうと、

まだまだいいものを作り続けていきたい、と

話してくださいました。

その技術に、確かな信頼を持っているから。

 

 

型くずれを防ぐために、肩へ芯を入れる。

膨大な種類の素材一つ一つに対応するための、

素材に関する知識を身につける。

もちろん素材だけでなく道具も。

 

 

 

 

 

 

そのたゆまぬ努力は、会長の手にしっかりと現れていました。

指の節にある”はさみだこ”。

 

 

裁ちばさみを使うときは、

 

 

 

写真のように持つため、指の節にはさみの持ち手の部分が当たり続けるため、

指の節には”たこ”ができます。

 

 

わたしはこのようなはさみだこを見たことがありませんでした。

綿貫会長の手に刻まれた職人としての歴史を目の当たりにして、

この方の手が生み出す作品が、

確かでないはずがない、と思いました。

 

 

 

 

 

 

若い力と切磋琢磨。職人技を次の世代へ。


 

綿貫会長は、その技術力を次の世代に伝えようとしています。

現在wafuで働いている研修生の指導にあたっているのです。

残されている時間も、無限にあるわけではない、

限られた時間で、どれだけ多くを伝えるかが、勝負だそうです。

 

 

 

 

服の種類によって、気を遣う部分が違うこと。

素材によってミシンの設定を変えること。

裏から見ても美しい縫製であること。

外に見える縫い目はひとつでも少ないほうがいいこと。

どれだけ、伝えていけるか。

 

 

そして綿貫会長は、ただ教えるだけではありません。

若い力から学ぶことが多い、と会長は話してくださいました。

教えるほうが偉いとか、多く学んだからもう学ぶことはないとか、

そういった姿勢ではなく、

綿貫会長は、同じ職人として、素晴らしい技術は共有し合い、

お互いに尊重していくことが大切だ、と言っていました。

 

 

技術や知識があるからと言って、人を上下で見ない綿貫会長。

その感覚はいつでもフラットで、

私のようなアパレル経験のない素人を邪険にせず、

そのお話を熱く語ってくださいます。

 

 

そんな綿貫会長のもとで修業を続ける若い職人たち。

wafu内では今日もその技術の継承が熱く行われています。

 

 

 

作品の向こうにお客様を見て。


 

 

最後に、綿貫会長のもう一つのお仕事、検品についてご紹介します。

 

最終的な仕上げとチェックをするのは、綿貫会長です。

ボタンやカギホックを付けたり、

スカートの裏と表の糸ループをしたり。

そして、不備がないか一通りチェックします。

 

 

 

 

仕上がったものが、ちゃんと商品として価値があるか。

それが届いた人が、いいものを手に入れたと思えるか、

厳しい目でチェックします。

私のような素人目には、わからないような部分まで。

 

 

私のような知識のない素人がみれば、わからない部分も、

買う人は職人ではないだろうから、チェックも適当でいい、ということにはなりません。

とにかく目を肥やして、検品を正確にする所まで、

職人の技なのです。

 

 

 

 

 

 

その細部に至るまで、作品に責任を持つ。

職人の心意気を、ずっしりと感じることができた今回のインタビュー。

 

 

途中で綿貫会長は、ご自身の歴史も語ってくださいました。

この歴史もまた奥深くて、wafuの大切な部分の一部なのですが、

また別の機会にお話することにしましょう。

 

 

 

 

それでは、今回の裁断と職人技についてのおしまいです。

次は服が形作られていく、縫製のお話に入っていきましょう。

 

 

 

 

文と写真・笠原里紗

ホームページ

インスタグラム

Share