菊和弘

【残り糸を探して切りたくなる魔性の鋏】


先日握り鋏を譲り受けました。

それはまさに、今まで使ってきた握り鋏で最高のものと断言できます。

名前は「菊和弘」といいます。

久々に切る瞬間を楽しみました。ワクワクしました。

どこか今までと違う。優越感なのか道具のおかげでこれほどまでにモチベーションが上がるものなのかと。

私は鋏を選ぶ時、先のとがったものを選びます。より根元から糸を切ることができるからです。

その点もこの鋏は二重丸。何しろ切れ味が鋭い。

日本刀を作る製法を応用して手作りで製作しているとのことで細部まで美しく職人技を感じさせてくれます。

この道具達で作られる洋服は幸せなんじゃないかと勘違いするほどです。

職人が使う道具は産業によっては作り手側に担い手がおらず衰退していることがよくあります。

この鋏を作る職人さんもそのようです。

こんなに素晴らしいものを後世に残らなくなるなんて本当にもったいない。

私の出来ることは、いい道具でいい仕事をして、少しでもその姿が憧れるようになって、
この道具使いたいって思うような職人さんを沢山育てて

縫製の取り巻く産業を、少しでもなくさないようにようにできればと。
微力ながらですか応援しております。

文・綿貫陽介

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