なんだろうこの気持ち。
先代から35年使った延反台を新調しました。
延反台とは生地を広げて型紙をのせて裁断していく台のことです。
幅は183cm、長さ4.9mです。
洋服を作るって結構広いスペースがいるんです、
生地幅が150cmくらいのもが沢山ありますから、ワンピースやロングコートなんかはそれなりに広い空間を使うことになります、はい。
これから効率よくオーダーに応えるため、新しいものに入れ替えを行いました。
ハシマというメーカーさんと地元のミシン屋さんと一緒に台を作り上げていきます。
ちょっこっと映っているメガネの一見こわそうな方が元気で面白いんです。
岐阜県からトラックで運んで来ていただいたのですが、いろんな縫製屋さんに納品しているので
縫製屋さんの今の事情だったり、アドバイスをくれたり、やはりいろんな企業を30年以上みていると
工場に入っただけでこの会社、よくないなとか、伸びるなとな分かるそうです。
恐る恐る聞いてみました。 僕達の環境、大丈夫そうですか?
「いい感じです。」と言ってくださいました。 一安心です。
作業を終え、また岐阜県に帰っていきます。
僕、後で知ったのですが納品のその日の朝、実のお姉さんが脳内出血で倒れていたそうです。
作業をしていた午後4時に亡くなったそうです。確かに何度か電話がかかってきていたのを覚えております。
そんなこと表情にも出さず、元気に笑わせてくれて、励ましてくれて、なんだろうこの気持ち、言い表せません。。
歌舞伎役者は親の死に目に会えないと聞きます、
仕事に対する強い思い、責任感がそうさせるのだと思いました。
この人の対応を目の当たりにしたことは神様が僕に心構えを教えてくれたんだと思いました。
今日からもっと気持ちを込めた洋服が作れる。そんな瞬間でした。
文・綿貫陽介